未だ終わらず怪異銘板

未だ終わらず 白狐

 知人のGさんは所謂見える人である。特にGさんの能力は夢に特化しており、彼女の見る夢は常人とはかなり異なったものとなる。

 ある日のこと、Gさんは夢を見た。
 大きな白狐の夢だ。幾房もの尻尾を背後になびかせ、大きな白狐が目の前に居る。その周囲を、実家で飼っている九匹の猫たちが取り巻いている。
 白狐が声を発した。
「みな、連れて行くが、よいな?」
 そこで目が覚めると、電話が掛かってきた。取り上げてみると実家に居る妹からだ。慌てた声で妹は報告した。
「お姉ちゃん! ネコたちがみんな口から緑色の泡を吹いて次々と死んでいってる!」

 九匹全部まとめて死んだそうだ。


 ネコの生死を司っているのはネコの神様だと思っていたが、実際は御狐さまがすべて取り仕切っているようである。